1時間あたりの付加価値額を算出し、生産性向上のための分析にも活用
茨城県に本社を置き、国内外に複数の拠点を持つ日東電気株式会社では、勤怠管理の効率化と生産性の向上を目指し、iTimeを導入しました。アルミダイカスト製品を中心とした製造業を営む同社では、複数拠点の勤怠情報を一元管理し、さらに製造現場の生産性指標にも活用しています。今回は、総務部の大谷富士子様に、製造業ならではの活用方法についてお話を伺いました。
用途:勤怠管理、有給休暇管理、生産性分析
課題:複数拠点の勤怠情報が把握しづらい、残業時間の可視化が困難
効果:拠点ごと2時間×8拠点かかっていた作業が30〜40分に短縮、生産管理計画が立てやすくなった
【今回お話を伺った方】
・総務部:大谷 富士子様
事業内容と大谷様の役割について教えてください
大谷様:当社はアルミダイカスト製品を中心とした製造業を営んでいます。主に自動車部品を製造しており、国内に7つの製造拠点、ベトナムに1拠点を持っています。他にもプラスチック・FRP製品の製作、金型設計・製作、プリント基板実装などの製造加工業を手掛けております。
国内では約400名(うち外国人約30名)、ベトナムでは約150名の従業員が働いています。創業は1951年で、水戸市内からスタートし、お客様の近くに工場を分散配置するスタイルで成長してきました。私は総務部で労務管理を担当しています。
iTime導入のきっかけは何ですか
大谷様:導入のきっかけは2019年頃に遡ります。日刊工業新聞の産業人クラブの総会でアプリシエイト社長と当社社長が出会い、意気投合したことから始まりました。同世代の経営者として製造業のDXについて意見交換する中で、アプリシエイトさんにITコンサルティングとして月1回来ていただくようになりました。
最初は2020年頃からネットワークの一本化など、ITインフラの整備を進め、各拠点の情報共有を円滑にするための基盤づくりを行いました。その後、「1時間あたりの付加価値を上げる」という経営テーマを実現するために、より詳細なデータが必要になり、2021年にiTimeを導入することになったのです。
それまではタイムカードや他のシステムを使用していましたが、使いやすさに課題があり、製造現場の生産性データと勤怠データを組み合わせて分析するには限界がありました。iTimeでは時間データを正確に取得でき、生産性向上のための分析にも活用できると考えたのが決め手となりました。
導入前にはどのような課題を抱えていらっしゃいましたか
大谷様:複数の拠点があるため、残業オーバーの社員を把握するのが難しく、計算して集計しないと見えませんでした。また、給与計算前のチェックが手間でした。社長や総務部長に報告するために、その都度データを調べなければならず、当時は当たり前だと思っていましたが、今思えば大変な作業でした。
有給休暇管理も紙ベースで行っており、届け出が紙で来て、それをチェックして有給管理簿に記入し、残日数を計算するといった手間がかかっていました。
iTime導入後、どのような変化がありましたか
大谷様:最も大きな変化は、残業時間の見える化です。以前は見ようと思わないと見られなかった情報が、カラー表示で一目で把握できるようになりました。本社の総務部から全拠点の勤怠状況を把握できるようになり、「○○さんは残業が多すぎるのではないですか」といった指導も可能になりました。
また、有給休暇の取得状況も本社から把握できるようになり、「残りの有給を取ってください」という声かけもできるようになりました。年5日の有給義務化についても、確実に全員が取得できるようになりました。
作業時間については、当時は拠点ごとに人が勤怠チェックを行い、1人あたり2時間程度かかっていました。80人ほどの工場では、シフト管理もあるため、以前は2日間かかるときもありましたが、今は2時間程度で終わります。本社では20人くらいおりますが、以前は1時間半かかっていたものが、今では5分で終わります。また、データの正確性も向上し、ミスがなくなりました。
普段の業務での使い方について教えてください
大谷様:私たちのメイン目標である「1時間あたりの付加価値を上げる」ために、毎月各拠点で月次勤怠集計表を出力しています。そのデータを社内のエクセルに入力することで、各部署の稼働時間を把握し、月次報告書作成に活用しています。
給与計算や有給の電子申請にも使用しています。また、日常的には「誰が今日出勤しているか」を確認するのにも使っており、これが意外と便利です。タイムカードを一枚一枚確認する手間が省けます。
工場の現場では、「部門別稼働時間」というデータを活用し、誰がどのマシンにどれだけの時間をかけているかを分析しています。これにより、1人でいろいろなマシンを抱えすぎている人を見つけ、作業の再分配を行うことができます。生産管理計画が立てやすくなったと感じています。
以前は工場長にのみアカウントを付与していましたが、現在は部長や次長にも権限を与え、より細かい単位での管理を実現しています。
製造部門と非製造部門が混在する中で、iTimeはどのように活用されていますか
大谷様:当社では本社でも工場でもタッチカードを基本としていますが、従業員の使いやすさを優先しています。特に製造現場ではスマホを使い慣れていない社員も多いため、カードタイプを採用しています。一方、本社はパソコンのログイン・シャットダウン時間を自動記録する方式を採用しています。
各部門の特性に合わせた打刻方法を選択できるのは大きなメリットです。また、製造部門の2交代制のシフトについても管理できており、現在はシフト表機能の改善を希望しているところです。
拠点が複数ある中で、iTimeはどのような点で役立っていますか
大谷様:拠点が離れていても、すべての情報を一元的に把握できるのが最大のメリットです。権限設定により、工場長や部長が自分の担当範囲の情報を見ることができ、かつ本社からはすべての拠点の状況を把握できるため、管理が非常に効率的になりました。
基本的に、各拠点の担当者が勤怠チェックを行っています。私はそのチェック済みの連絡を受けた後に、総勤務時間を見るくらいであとは給与計算システムに取り込むだけです。さらに、有給管理や残業時間の管理も本社から一元的に行えるようになり、全社的な労務管理の質が向上しました。
iTimeをどの様な人におすすめしたいですか
大谷様:業種は問わないと思いますが、特に拠点が離れていて「全部は見ていられない」という企業には持ってこいだと思います。コストパフォーマンスも良く、人件費で考えるとすぐに元が取れるのではないでしょうか。
また、役職のある方々の時間を有効活用できるのも大きなメリットです。権限付与機能により、必要な人に必要な権限を与えられるため、管理の分散化と効率化が同時に実現できます。
最後に、今後iTimeを使ってやりたいことを教えてください
大谷様:現在の課題は、カード認証からの脱却です。カードは時間の経過とともに劣化するため、スマートフォンやパソコンによる打刻に切り替えたいと考えています。ただし、製造現場の方々にはスマートフォンの操作に不慣れな方もいるため、段階的に導入していく予定です。
将来的には、1時間あたりの付加価値をさらに高めるための分析ツールとしての活用を深めていきたいと考えています。製造の現場でどの工程にどれだけの時間とコストがかかっているかをより詳細に把握することで、さらなる生産性向上につなげたいです。
― インタビューへのご協力、ありがとうございました。引き続き、iTime・株式会社アプリシエイトをよろしくお願いいたします。
社名:日東電気株式会社 事業内容:製造業(アルミダイカスト製品、FRP製品など) 設立:1951年 従業員数:国内約400名(外国人約30名)、ベトナム約150名 本社所在地:茨城県東茨城郡茨城町長岡3268 URL:https://www.nittocorp.co.jp |