「労働基準法が大きく変わるらしいが、いつから、何が変わるのか分からない」——。
2025年1月に厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表して以降、労働基準法を含む労働基準関係法制の大幅な見直しに向けた議論が続いています。一方で、改正内容はまだ確定していません。
本記事では、現在検討されている主な論点を整理し、確定を待たずに勤怠管理の実務で準備しておくべきことを解説します。
※法案の内容・施行時期は今後の審議で変わる可能性があります。本記事の内容は「検討されている方向性」であり、確定した改正内容ではない点にご注意ください。
現在の状況
| 時期 | 動き |
|---|---|
| 2025年1月 | 労働基準関係法制研究会が報告書を公表。労働時間法制などの見直しの方向性を提示 |
| 2025年〜 | 労働政策審議会(労働条件分科会)で法改正に向けた議論 |
| 2026年 | 2026年通常国会への法案提出は見送られた。その後、労働時間法制等について労働政策審議会での検討が続き、2026年9月の労働条件分科会では今後も議論を進める方針が示されている。 |
検討されている主な論点と勤怠管理への影響
| 論点 | 検討されている方向性(報告書等) | 勤怠管理への影響 |
|---|---|---|
| 連続勤務の上限 | 2週間以上の連続勤務を防ぐ観点から、「13日を超える連続勤務をさせない」規制の導入を検討 | 連続勤務日数の把握・アラートが必要になる |
| 法定休日の特定 | どの日が法定休日かをあらかじめ特定することを検討 | 就業規則・休日設定の見直し、休日労働の判定方法への影響 |
| 勤務間インターバル | 現行の努力義務から、より実効性を高める方向(義務化を含む)への強化を検討。勤務間インターバルを「11時間」とすることを原則とする方向 | 終業から翌始業までの休息時間の集計が必要になる |
| 年次有給休暇の賃金 | 有給休暇取得日の賃金の算定方法を「通常の賃金」方式を原則とすることを検討 | 給与計算・勤怠連携の設定見直し |
| 副業・兼業 | 割増賃金の計算における労働時間の通算の見直しを検討 | 副業者の労働時間の把握方法の見直し |
| つながらない権利 | 勤務時間外の連絡への対応ルールについて、ガイドライン等の整備を検討 | 時間外連絡のルール化 |
| テレワーク等の柔軟な働き方 | テレワークに対応した労働時間制度の柔軟化を検討 | 在宅勤務時の時間管理ルールへの影響 |
確定を待たずに準備すべき5つのこと
改正内容が確定してから準備を始めると、就業規則の改定、システム設定、従業員への周知が施行に間に合わないおそれがあります。
次の5つは、改正の有無にかかわらず現行法の適正な管理にもつながるため、今から着手する価値があります。
| 準備すること | 理由 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| ①連続勤務日数を把握する | 連続勤務の上限規制が検討されている | 過去半年の最長連勤日数を部署別に集計する |
| ②勤務間の休息時間を把握する | 勤務間インターバルの強化が検討されている | 終業から翌始業まで11時間未満の件数を月別に集計する |
| ③法定休日の定めを確認する | 法定休日の特定が検討されている | 就業規則で法定休日が特定されているか、シフト制で運用できるか確認する |
| ④勤怠データをすぐに出せる状態にする | 労働時間の状況の把握・開示に関する議論もある | 部署別の残業時間、有給取得率を月次で出力できるか確認する |
| ⑤システムの対応方針を確認する | 施行までの期間が短い可能性がある | 利用中の勤怠システムのアップデート方針・設定変更の範囲を確認する |
「最長連勤は何日か」「勤務間インターバル11時間未満は月に何件あるか」——この数字をすぐに出せない場合は、法改正への備え以前に、勤怠データを管理に活かせていない可能性があります。
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| 確認する数字 | 見方 |
|---|---|
| 最長の連続勤務日数 | 13日を超える連勤が発生している部署・職種はないか |
| 勤務間インターバル11時間未満の件数 | 特定の人・部署・時期(繁忙期)に集中していないか |
| 月45時間超の残業者数 | 現行の上限規制の管理ができているか |
これらの数字は、改正が確定していない現時点でも、長時間労働や健康リスクの兆候として重要です。
データで現状を把握しておけば、改正内容が確定したときに「どの部署で、どの程度の対応が必要か」をすぐに判断できます。
まとめ
労働基準法の見直しは、連続勤務の上限、法定休日の特定、勤務間インターバルなど、勤怠管理の実務に直結する論点が多く含まれています。内容はまだ確定していませんが、連勤日数やインターバル、残業時間を自社のデータで把握しておくことは、改正の有無にかかわらず取り組むべき準備です。最新情報は厚生労働省の公表資料で確認しながら、早めに備えましょう。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度・法令の具体的な適用については、厚生労働省等の最新の公的資料や社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
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